にわかあめ
北北西に曇と逝け(ほくほくせいにくもとゆけ)。タイトルからインパクトありますよね。
実際に購入し、読んでみたのですが、とても魅力的な作品だったので紹介します!
北北西に曇と往けとは??
著者:入江亜季
発行:株式会社KADOKAWA
KADOKAWAが発行する漫画誌「ハルタ」で連載されている作品
舞台は極北の地アイスランド。
主人公の名は御山慧(ミヤマケイ)、年齢は17歳。
アイスランドに住む祖父の家に居候しつつ、「生活費」を稼ぐ為にと「暇が嫌い」で探偵をやっています。
タイトルにもある「北北西」というのは、日本からみたアイスランドの場所が北北西にある為です。
どんなお話なの?
現在2巻まで、単行本は出ているのですが
割合的には、探偵2割、アイスランドの暮らしぶり5割、物語3割といったところでしょうか。
探偵業
まず、探偵業から始まるのですが、この時に乗っているジムニーがかっこいい!
そして広大なアイスランドの地の美しい描写によく映えます。
まず、主人公である御山慧には不思議な力があり、その力は祖父の祖父から、孫の代まで受け継がれているようです。
物語の中では、車で移動する事が多いのだが、その時にも車に話掛けて、会話をしている所から察するに、不思議な力の正体は「誰かに使われた事のある物の記憶を読取ったり、会話する事ができる力」なのではないだろうか?
正に探偵をやるにはうってつけの能力です。
手がかりを捜す際に、その人物が使用していた物の記憶を元に居所を探ったり、直近で使用している物であるならば、会話すればいいですからね。
まだ、全容は明かされてはいないですが、まだまだ秘密がありそうな気がします。
ちなみに、祖父であるジャックの力は「鳥と会話ができる力」だと思われます。慧は自分の力の内容をジャックには秘密にしているようです。
アイスランドの暮らし
次に、アイスランドの暮らしぶり5割というのは、2巻を見てもらうと、分かるのですが、いきなり、友達がアイスランドに遊びに来ます。そして、アイスランドの観光地や、暮らしぶりのエピソードになります。
主人公の過去編が少しあったり舞台であるアイスランドの地を知るバックボーンとなる話なので、物語に無関係とは言い難いのですが、なにより、アイスランドに行きたいと思わせる素晴らしい内容になっています。
例えば、アイスランドでは羊の養殖が盛んで人間よりも羊の方がたくさん居たり、澄んだ空気と太陽が低く昇る高緯度地帯の為、サングラスが車の運転には必需品だったり、通貨の「アイスランドクローナ」が日本円で900円だとすると、同じくらいの約900円強だったりといった、知識を得ることもできます。
そして、圧巻の大自然!
美しく描かれた自然の光景がとてもよく、入江亜季先生の表現力の凄さを感じられます。
物語の内容
さて、肝心の物語ですが、ここはちょっとネタバレになってしまうかもなので、注意を。
物語は御山兄弟を中心に進んでいきます。
そう、主人公には実は弟がいます。しかし、弟は日本で暮らしています。
弟の名前は御山三知嵩(ミヤマミチタカ)、15歳。
どうして、別々に暮らしているかというと、両親が亡くなったのが原因です。
その時に、慧は父方のアイスランドに暮らす祖父の所へ、そして、三知嵩は母方の日本に暮らす叔父夫婦の所へと引き取られたようです。
つまり、御山家は、父がアイスランド人で、母が日本人になりますね。
どういった原因で両親が何歳の時に亡くなったのかまでは明かされていないです。
ある日、三知嵩にメールを送っても戻ってきてしまうことから、慧は電話を掛けてみます。
しかし、繋がらず、お世話になっている叔父さんの家にも電話が繋がらない。
不審に思った慧は祖父である、ジャックと共に日本へと確かめに行きます。
そこで明かされたのは、叔父夫婦の死と三知嵩の失踪。
探偵で培った捜査力と不思議な力を駆使して、三知嵩の行き先を知ることができました。
行き先は「アイスランド」
どうやら、入れ違いになってしまったようで、慧達はアイスランドへ帰り待つことにしました。
しかし、帰ってから、日本人が慧の後を付け回して居ることに気がつきます。
その日本人の正体は刑事で、弟の三知嵩を探しているらしく、強引に慧を捕まえ両手首をテープで縛り尋問を始めます。
叔父夫婦の友人だと名乗るその刑事は休暇を使って、アイスランドへと来ているらしく、叔父夫婦を殺した犯人である「御山三知嵩」を探しているのだという。
当然、出会ってもいない三知嵩の居場所など知る由もなく、また、弟が人殺しをするはずがないと慧は答えます。
実際に叔父さんたちの死の原因は「交通事故」と「病気」です。
しかし、刑事はそう見えるように殺されたと主張します。
結局、本当の事は分からず、最後まで弟の事を信じた慧は、殴られ気絶してしまいます。
そして、放置されていた慧を弟である三知嵩が、安全な所へと運び込みます。
痛ましい姿の慧を見て、三知嵩は涙を浮かべ「兄さん、ごめん」と囁きます。
と、ここまでにしましょう。
もう少しこのあとの内容はあるのですが、すごいざっくりと説明するとこんな感じです。
それに、しっかりヒロインとなるキャラクターも居ますよ!
・何故両親は死んだのか?
・何故叔父夫婦は死んだのか?
・三知嵩は犯人なのか?
この3点が気になるところですね。
次に発売する3巻では物語が動き出すような気がしてなりません。非常に楽しみです!
では、番外編として、ちょっとアイスランドの知識を入れておきましょう。
物語の舞台を知るのは本編だけでも十分なのですが、より楽しめると思います。
物語をもっと楽しむ(物語の舞台アイスランドについて)
アイスランドはデンマークから独立した共和国です。
言語は「アイスランド語」
最大の首都は物語にも出てくる「レイキャビク」
人口は「337,610人」
通貨は「アイスランド・クローナ」
特徴は多くの火山があり、火山活動によりアイスランドの大地が生まれました。
元々は森林面積が4分の1だったが、伐採により森林面積は1%にまで減少したそう。その為、懸命な植林活動が各地で行われています。
植物も羊の餌となるため、段々と減少している。
現在アイスランドにおける発電の7割を「水力発電」3割を「地熱発電」から得ており、とてもクリーンなエネルギーで電力を賄っている。
温泉資源が豊富で世界最大と言われている露天風呂「ブルーラグーン」等があります。また地熱発電の際に使った排水を家庭に送り込み暖房器具として機能させたり、食物を栽培する際の温室作りに役立っていたりとエネルギーを無駄にしない仕組みになっています。
島国らしく、漁業も昔から盛んで、暖流と寒流がぶつかり合う潮目があることから、世界有数の漁場となっています。
アイスランド語が共用語ではあるものの、英語とデンマーク語を小学校から習う為、国民の多くは多言語を操ることができるそうです。
ほとんど、物語の中で説明されている内容かもしれませんが、参考までに。
まとめ!
アイスランドの描写、そこに暮らす人びとや環境、荒涼とした大地。
一度アイスランドに行ってみたい!そう強く思ってしまう漫画でした。
そしてなにより、入江亜希先生の絵が非常に美しく、キャラクターも魅力的に描かれています!
余談ですが、表紙の質感も紙っぽい素材でできており、温かみを感じるのが、個人的にGOODです。
そしてこれは、中に入っていたお便りのハガキなんですが…
かわいい!!
こういうところまで気を配るなんて、芸が細かいです!楽しい気持ちにさせてくれますよね。
このハガキはせっかくなので大切に保管しておこうとおもっています。
次の巻が出た際にアンケートを送ってみようかな。
さあ、
一体兄弟はこれからどうなってしまうのか!?
楽しみに次巻を待とうと思います!
初めての漫画記事でしたが、読んでくださりありがとうございました。